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弁護士記事 / 出店関連
執筆者: Tsuji France Law
2024 02/09
フランス特有の営業権譲渡の流れ(Cession de fonds de commerce)
営業権譲渡とは?
営業権譲渡は、フランスで路面店を開業する際によく利用される方法です。この譲渡方法では、営業財産全体を対象とします。具体的には、以下のような有形・無形の資産が含まれます。
有形資産
- 機械
- 設備
- 備品
無形資産
- 顧客
- 商標
- 各種許可(行政上の許可)
- 不動産賃借権
営業権譲渡のメリット
他にも株式譲渡や企業資産の売買などの方法がありますが、営業権譲渡には以下のメリットがあります。
- シンプルな手続き
デューディリジェンス(法律監査や会計監査)を行う必要がないため、比較的簡単に開業できます。 - 不確定要素が少ない
同業者間であれば家主の許可が不要であり、不確定要素が少なくスムーズに出店できます。 - 投資の魅力
営業権の価格は一般的に年商の8割から10割で売りに出されるため、安く購入し、努力とノウハウ次第で価値を上げることが可能です。
実務の流れ
- 仮契約の締結
売主と仮契約を結び、銀行融資などの停止条件を盛り込みます。 - 本契約の締結
停止条件が成就したら、本契約を交わし、営業権が譲渡されます。 - 手付金の支払い
仮契約締結時に営業権価格の10%を手付金として弁護士会の預託銀行に預けます。 - 残金の支払い
本契約締結時に残りの譲渡金額を支払いますが、債権者異議申し立て期間が設定されているため、譲渡金額が売主に支払われるのは3〜4ヶ月後になります。
リスク管理
弁護士会預託銀行に手付金や譲渡金額を預けることで、取引のリスクを抑えることができます。このシステムにより、安全かつ確実な営業権の譲渡が可能です。
営業権譲渡を検討している方は、以上のポイントを参考にして、スムーズな開業を目指しましょう。