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出店関連

執筆者: Tsuji France Law

2024 07/15

フランス商法まめ知識〜めざせ!フランス飲食店出店編〜

飲食店をフランスで開業する際のステップやポイントをまとめました。出店をご予定の方はお気軽にご相談ください。

第1弾-パリに飲食店を出店したいのですが何から始めれば良いですか?

まずは、飲食店として営業できる物件を探すことが重要です。

初めから不動産業者を通じて探すとこともできますが、自分の足で歩いて好みのエリアを探してから依頼するのも一つの方法です。

フランスでは、調理師免許がなくても飲食店を開業できますが、料理のノウハウと食品衛生の研修(20時間、約500ユーロ)を受講する必要があります。

研修を受講すれば誰でも修了証を取得できます。

  •   【 ⚠️ 】 卵を使用したスイーツをメインに提供する、いわゆるパティスリーは、フランスの国家資格(CAPやBEP)が必要ですのでご注意ください。
    • 【 ⚠️ 】 お酒だけを提供する場合は、アルコールライセンスのLicence 4が必要です。Licence 4は数が 制限されており、新たに発行されないため、既存の所有者から購入する必要があります。
    • 【 ⚠️ 】 お酒を提供するだけでなく、お食事と一緒にアルコールを提供する場合は、通常の飲食店の研修を受けるだけで開業できます。

第2弾-売りに出しているとても良い立地条件のお店は見つかりましたが、そこは飲食店ではありません。そこで飲食店を開業できますか?

飲食店以外のお店から飲食店に変更するためには、まず家主の許可が必要です。

多くの場合、建物の地上階にある物件は、建物の管理組合総会の承認も必要となるため、手続きは複雑で難しいです。そのため、出店時には同じ業種のお店を探すことが重要です。

  • 【☀️】 飲食店から衣服店など食とは関係のない業務内容に変更する場合は、家主からの許可が下りやすいです。

第3弾-やっと売りに出している飲食店が見つかりました。そこにテナントとして入るためには、営業権譲渡をする必要があると言われました。営業権譲渡ってなんですか?

営業権譲渡とは、現在のテナントが新しいテナントにお店を譲渡することです。

譲渡には賃借権(賃貸契約)、機材(テーブル、椅子、オーブン、食器など)、顧客、場合によっては従業員が含まれます。

フランスでお店を出す際は、多くの場合この営業権譲渡を通じて出店します。

  • 【 💡 】営業権譲渡はテナント同士の契約であり、家主は当事者ではありません。 したがっ て、営業権譲渡金額とは別に家賃が発生します。

第4弾-営業権価格はどのように決まりますか?

営業権譲渡の価格は交渉可能です。

立地条件や工事費用によりますが、一般的にはテナントの年商の8割から10割が基準です。

しかし、賃料や賃貸契約の残存期間なども影響を受けるため、過去3年分の計算書類や賃貸契約、最新の賃料請求書などを確認し、妥当な価格かを分析する必要があります。

       

       【営業権価格を決めるためのチェックリスト

        1. 過去3事業年度の計算書類

        2. 賃貸契約書

        3. 最新の賃料請求書

        4. アパートの場合、管理組合規定

        5. 飲食店の場合、過去1年以内の排気管・煙突メンテナンス証明書

これらの書類をもとに、妥当な価格かどうかをしっかりと確認し、適正な営業権譲渡の価格を決めましょう。

第5弾-営業権価格が決まりましたが。その次のステップは何ですか?

営業権価格が決まったら、即オファーを出し物件を確保する必要があります。オファーに対して合意が得られたら、仮契約書を締結します。

仮契約書には、停止条件を多く盛り込みましょう。

停止条件とは、その条件が満たされない場合、ペナルティやキャンセル料なしで契約をキャンセルできるものです。

  • 【例🔍】銀行融資を申請する場合は、融資を停止条件に入れます。融資が下りなければ本契約を締結しなくてもキャンセル料やペナルティは発生しません。
  • 【例🔍】換気扇周り、排気管、煙突が正常であることを停止条件に入れます。パリでは建物が古いため、飲食店を出店する際は排気管が基準を満たしているか業者に確認してもらうことが重要です。

仮契約締結時には手付金が発生します。

そのため弁護士を通して仮契約書を締結することをお勧めします。

これにより、手付金がなくなるなどのリスクを抑えることができます。

弁護士会の預託銀行が手付金を預かることで、直接売主に支払うリスクを回避できます。

  • 【 💡 】仮契約書にはできるだけ多くの停止条件を入れ、譲渡が行われなくてもキャンセル料が発生しないようにしましょう。
  • 【 💡 】仮契約書は弁護士のアドバイスを基に締結し、手付金は弁護士会の預託銀行に預けるようにしましょう。

第6弾-営業権の仮契約を締結しました。次は何をすべきですか?

本契約締結に向けて、法人設立や家主への営業権譲渡計画の通知、銀行融資の申請などを行います。

フランスに居住している場合、滞在許可証なども仮契約を締結してから申請することができます。

  •  【 ⚠️ 】 場合によっては、仮契約締結前にフランスに法人がなかったり、フランスの滞在許可証を 持っていないことが不利に働くことがあるので、売主と信頼関係を築くことが大事です。

パリで起業、ビジネス、企業法務を取り扱っている|辻 法律事務所

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