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弁護士記事 / 労働法

労働法

執筆者: Tsuji France Law

2022 05/20

フランスの2022年6月6日は祝日?

フランスでは、昔からペンテコステの翌日の月曜日(復活祭後の第7日曜日の翌日)は祝日であった。

しかし法律 により2005年以降、ペンテコステの翌日の月曜日は「団結の日」(Journée de solidarité)と決められ 、高齢者や障害者の介護支援のために労働者が無償で働くべく義務付けられた。

ただ、今まで祝日だったその日を団結の日とした措置に異議を唱える国民が大勢いたため、その3年後の2008年には法律が改正され、団結の日は5月1日のメーデーを除き、いつでも設定して良いとした。

このように団結の日、つまり無償で働く日は、毎年1日企業で設けることが義務付けられているが、5月1日を除けば、どの日に設定しても良いことになった。

しかし便宜上、ペンテコステの月曜日を団結の日としている企業が多く、今年は2022年6月6日がその日である。

そのためフランスでは未だに毎年ペンテコステの月曜日は休日なのか労働日なのか迷ってしまう人が多い。

1. Journée de solidarité(以下「団結の日」)は従業員にどういった影響があるか
団結の日は全ての従業員に義務付けられている、無償労働日である。CDD(有期雇用)で雇われている従業員も含む。
正規社員(CDDも含む)の場合は、7時間が無給となる。詳しくは、無償で7時間労働しても良いし、有給休暇その他休暇を1日消化しても良いし、RTT(労働時間短縮)を1日使うこともできる。
団結の日に7時間を超えて労働した場合は、通常通り、残業手当が付く事になる。

パートタイム社員の場合は、雇用契約上の労働時間に応じて無償労働時間数が決められる。例えば、週20時間のパートタイム社員は、団結の日の無償労働時間は4時間となる(7時間 x 20時間)/35時間。

団結の日は従業員1名につき年に1回と限定されている。そのため、同じ年度に転職した場合は、すでに前雇用先で団結の日をこなしていれば、転職先で再び団結の日を負担する必要はない。

2. 団結の日は企業にどういった影響があるか
企業は毎年合計支払賃金の0.3%を介護支援負担金(CSA)として支払う義務を負う。

3. 団結の日はどのように設定すべきか
団結の日は労働協約、企業協定(accord d’entreprise)、部門協定(accord de branche)で決められていなければ、従業員代表と協議をした上で雇用主が決めるものとする。

団結の日は、次のいずれかに設定することができる。
• 5月1日を除く祝祭日(例えばペンテコステの月曜日)。
• RTT(労働時間短縮)の日。
• その他通常労働日でない日(土曜日など)。

その他、従業員は有給休暇、年間残業時間を超えた場合に付与される休暇(contrepartie obligatoire en repos)や 時間外労働に対する代替休暇( repos compensateur de remplacement)を団結の日に消化することができる。

ただしこの場合は、雇用主からの義務付けは禁止されているので注意が必要である。


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